10 リントン・プレイス

10 リントン・プレイス

あらすじ

リチャード・フライシャー監督の1971年の心理ドラマ『10 リントン・プレイス』は、英国史上最も悪名高い連続殺人犯の1人であるジョン・クリスティについて、痛烈かつ示唆に富む内容で描いている。この映画は、犯罪、ティモシー・エヴァンスの裁判、そしてその悲惨な結果を綿密に検証している。 舞台は戦後間もない頃。物語は、一見普通で立派に見えるジョン・クリスティ(リチャード・アッテンボロー)を中心に展開する。彼は、暗い秘密を抱えた連続殺人犯だ。冷静な態度と控えめな外見で、クリスティは周囲の人々、特に隣人にとって明らかな脅威とはならない。しかし、この見せかけは、彼の残忍でおぞましい犯罪を覆い隠しているに過ぎない。クリスティは、数年にわたり、彼自身の名前の由来となった家、10 リントン・プレイスで、一連の凶悪な殺人を犯す。 クリスティの犠牲者の1人は、ティモシー・エヴァンスの妻ベリルと、彼らの2人の幼い娘、ジェラルディンとキャスリーンである。クリスティは、家族の知人として、彼らの脆弱な状況につけ込み、残忍に殺害する。身の毛もよだつ恐怖と血まみれの殺戮に満ちた犯行現場は、観る者に拭い去れない印象を残す。この恐ろしい行為は、英国史上最も悪名高い冤罪事件の舞台となる。 映画は、妻の失踪後、殺人事件の最重要容疑者となる、遺された父親ティモシー・エヴァンス(ジョン・マロリーが演じ、妹たちとのシーンではキース・フォークナーが演じる)に焦点を当てる。娘と妻の遺体の凄惨な発見に直面したエヴァンスは、すでに喪失感に打ちひしがれており、殺人の罪で告発される。無罪を主張するにもかかわらず、エヴァンスは1950年に有罪判決を受け、絞首刑を宣告される。 ティモシー・エヴァンスに対する冤罪は、彼のアリバイに対する不十分な調査と、彼に不利な疑わしい証拠に起因する。さらに、警察は事件の取り扱いを誤ったと非難されており、エヴァンスの不当な有罪判決には、彼が労働者階級出身の下層労働者であり、複雑な英国法制度に直面して自分自身を擁護するのに苦労したウェールズ人の文盲であったという事実を含め、いくつかの要因が寄与している。 一方、ジョン・クリスティは二重生活を送り続け、自身の妻、エセルを殺害するという悪名高い殺人を含む、さらなる凶悪犯罪を実行する。彼の無邪気に見える態度は、彼の行動の凄まじい堕落を覆い隠しており、彼の逮捕後、敷地内で9人の女性と妻の遺体が発見されるまで隠されていた。 興味深い展開として、クリスティがティモシー・エヴァンスの家族を殺害した動機は、彼を捨てた自身の妻への歪んだ報復未遂であることが明らかになる。狂気に染まったジョン・クリスティは、邪悪な意図を描き出し、ティモシーの脆弱性につけ込み、彼自身の欲望に対するあらゆる反対勢力を排除する。 リチャード・フライシャーの演出は、ジョン・クリスティとティモシー・エヴァンスの物語という暗い物語を巧みに織り交ぜ、英国史上最も衝撃的な冤罪事件の1つを、忘れがたく、示唆に富む形で描き出している。クリスティの行動を可能にした社会背景と文化的文脈を描くことで、物語に深みが加わり、法制度における組織的な欠陥の悲劇的な結果を強調している。 物語が展開するにつれて、この映画は、責任、社会的責任、そして人間の悪と善の能力の両方について、重要な疑問を提起する。『10 リントン・プレイス』は、人間性の暗黒の片隅にあっても、人間の感情、行動、そして人間の既知の最も凶悪で不可解な犯罪につながる動機が複雑に絡み合っていることを、痛烈に思い出させる作品である。

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レビュー