イワン雷帝 (第一部)

イワン雷帝 (第一部) (1944年) は、セルゲイ・エイゼンシュテイン監督による歴史ドラマ映画で、イワン4世、別名イワン雷帝のロシアにおける初期の治世を描いています。この映画は2部構成で、第一部はイワンの権力掌握と、その後の内外の脅威との闘いに焦点を当てています。 物語は、1547年、イワン4世が父親であるヴァシリー3世の死後、モスクワ大公となる場面から始まります。当初、イワンはボヤール、つまり権力のある貴族階級から抵抗を受けます。彼らはイワンの突然の権力掌握を快く思わず、彼の権威を弱体化させ、自分たちの影響力を回復しようと企てます。クルプスキー公とウラジーミル・アンドレイエヴィチ・スタリツキー公に率いられたボヤールたちは、イワンに対して陰謀を企てます。 イワンがこの危険な状況を乗り越えていく中で、モスクワを荒廃させた壊滅的な火災の後始末にも対処しなければなりません。この火災は、ロシアを飲み込もうとする混沌と破壊のメタファーとして機能し、強力なリーダーシップと団結の必要性を象徴しています。 直面する困難にもかかわらず、イワンは自らの権力を維持し、歴史に名を残すために、なりふり構わない狡猾で冷酷な指導者であることを証明します。彼は、クルプスキー公の息子であるアンドレイ・クルプスキーや、賢明な老ボヤールであるアンドレイエヴィチ・スタリツキー公など、自身に反対する人々を処刑します。 映画全体を通して、エイゼンシュテインは彼独自のモンタージュスタイルを採用し、イワンの残忍な手法の場面とモスクワの再建のイメージを交互に映し出します。この並置は、ロシアを脅かす破壊的な力と、強力で団結した国家を建設しようとするイワンの決意との間の鮮やかなコントラストを強調しています。 映画は、イワンが有力な貴族の娘であるアナスタシア・ロマノヴナと結婚し、彼の治世の転換点となる場面で終わります。彼は権力を強化し、ロシアに対する権威を主張し始めると、ますます孤立し、偏執的になり、第二部で繰り広げられる出来事への舞台を整えます。 イワン雷帝 (第一部) は、歴史的事実と芸術的な自由を織り交ぜた、歴史上最も謎めいた人物の一人についての説得力のある物語を作り上げた、映画的ストーリーテリングの傑作です。