翼

『翼』（原題：Wings）は、1927年のアメリカのサイレント映画であり、恋愛、ドラマ作品。ウィリアム・A・ウェルマンが監督、製作者、共同脚本を担当し、ホープ・ローリングとルイス・サレッキーが脚本を執筆した。チャールズ・「バディ」・ロジャースとリチャード・アーレンが、第一次世界大戦中に戦闘機パイロットとなり、ジョビナ・ラルストン演じるシルビア・ルイスの愛を競う、異なる社会階級出身の2人の青年、ジョン・クウィランとジャック・パウエルを演じている。 物語は、第一次世界大戦勃発前のアメリカの小さな故郷で始まる。裕福な家庭の青年であるジョン・クウィラン（ロジャース）と、身分を上げようと野心を持つ中流階級の男、ジャック・パウエル（アーレン）は、クウィラン邸で開催された上流社会のガーデンパーティーで出会う。このイベントには、上流社会の人間ではなく、知的で自立した女性であり、独自の人生観を持つ、美しく魅力的なシルビア・ルイス（ラルストン）も参加している。ジョンとジャックはともにシルビアに夢中になるが、社会階級の違いと、身分を上げたいという願望から、彼女への気持ちを秘密にしておく。 しかし、第一次世界大戦が勃発すると、ジョンとジャックの人生は新たな局面を迎える。彼らはともにアメリカ空軍に入隊し、戦闘機パイロットとなる。訓練中、彼らは揺るぎない絆を築き、「パイロットクラブ」と呼び合うようになる。彼らの絆は、様々な障害を乗り越え、熟練したパイロットとなり、互いへの新たな尊敬の念を育むにつれて、より強固なものとなる。 戦闘任務で飛行するにつれて、互いへの賞賛の念は増していく。彼らはやがて、数々の空中戦で勝利を収め、エース・パイロットとなる。しかし、彼らの私生活は複雑なままである。ジョンとジャックはシルビアへの想いを募らせ続け、シルビアはジョンの魅力と愛嬌、そしてジャックの優しさと誠実な人柄の間で心が揺れ動く。 社会階級の違いにもかかわらず、ジャックとジョンは、空を愛する気持ちと、戦時中の仲間意識のおかげで、複雑な友情を続けることができる。彼らは頻繁にシルビアに、自分たちの気持ちや経験を綴った絵はがきを送る。一方、シルビアは、日を追うごとに深まる2人への愛情から、どちらかを選ぶことがますます難しくなっていく。 休暇中、ジョンとジャックは故郷に戻り、ジャックは幼い頃から隣に住み、いつも自分のそばにいてくれたアギー（エル・ブレンデル）への愛を深める一方、ジョンはシルビアに夢中になり続ける。アギーはジャックに自分の本当の気持ちを伝えようとするが、ジャックが本当に同じ気持ちを抱いているかどうかは明らかにならない。 物語は、ジャックとジョンが空中スタントの腕を競い合った際、ジャックが空中事故で命を落とすという、劇的で悲劇的な結末を迎える。ジョンは、ジャックの突然の死を、シルビアと一緒にいるときに知らされる。シルビアはジャックよりもジョンを選んでいた。親友の死に打ちひしがれたジョンは、シルビアとの関係に慰めを見出すが、その前に、2人の絆と、戦時中に払った犠牲を振り返る。 『翼』は、アカデミー作品賞を受賞した最初の作品である。この映画の影響は、ストーリーテリングやキャラクター描写だけでなく、1920年代の映画撮影技術の高さを証明する視覚効果や航空シーンにも及んだ。 ウィリアム・A・ウェルマンの演出は、ジョンとジャックの絆、パイロットたちの友情、そして彼らが陥る悲劇的な三角関係に焦点を当て、映画に痛烈でリアルなタッチを加えた。サイレント映画の真の古典である『翼』は、公開から1世紀近く経った今もなお、愛、友情、そして不屈の精神というテーマで観客を魅了し続けている。