マスターマインド

映画『マスターマインド』（2016年、ジャレッド・ヘス監督）は、ありえないような田舎町の泥棒たちが、一生に一度の大強盗に乗り出す物語。装甲車警備会社の夜警として働くデイビッド（ザック・ガリフィアナキス）は、アメリカ南部の平凡な生活にますます幻滅していく。彼は、小さな町での刺激のなさや機会のなさに息苦しさを感じ、自分の境遇を変えようと決意する。 ある日、デイビッドは装甲車警備会社で働くうちに、カリスマ的で狡猾なスティーブ（オーウェン・ウィルソン）と出会う。スティーブは、手の込んだ強盗を仕組むことに長けた詐欺師だ。しかし、彼は自身で十分な腕前の泥棒ではなく、作戦を実行するためにはパートナーの助力が必要なことが多い。 デイビッドとスティーブは、意外な友情を築き、スティーブはデイビッドの装甲車警備会社での地位にチャンスを見出す。彼はデイビッドを、大金を盗むために会社の金庫に侵入するという大胆な強盗に誘い込む。しかし、デイビッドは強盗の計画段階にどんどん関与するようになり、スティーブは彼を貴重なパートナーとして見始める。 物語が進むにつれて、デイビッドはスティーブを説得し、ケリー（クリスティン・ウィグ）とギャレット（ジェイソン・サダイキス）の2人を仲間に加える。ケリーは、職場で金を横領している銀行の窓口係で、ギャレットは、生活に困窮している田舎町の警官だ。彼らは、それぞれの背景やスキルセットが大きく異なるにもかかわらず、興奮と金銭的利益に対する共通の欲求を共有している。 グループは寄り集まり、装甲車警備会社の施設に侵入し、現金を盗む計画を立てる。しかし、装甲車警備会社が最新の警報や監視カメラなど、新しいセキュリティ対策を実施していることが判明し、事態はすぐに複雑化する。グループはまた、上司がデイビッドの行動を疑っており、調査を開始していることを知る。 怯むことなく、グループは計画を続行する。彼らは独自のスキルを駆使して、セキュリティ対策を回避し、金庫にアクセスし、何時間もかけて現金を数え、袋詰めする。逃走の準備をするうちに、自分たちの行動の結果を過小評価していたことに気づく。地元の当局が彼らを追い詰めており、彼らは警察のパトロールや監視カメラの複雑な網をかいくぐり、不正に入手した金を持ち逃げしなければならない。 映画のクライマックスでは、グループが逮捕を逃れようとする一連のコメディ的ミステリーが繰り広げられる。彼らは知恵と狡猾さを使って法の一歩先を行くが、素人であるため、しばしば恥ずかしい、危険な状況に陥る。最終的に、グループは大金を持ち逃げすることに成功するが、代償は伴う。 エンドロールが流れるにつれて、映画のトーンは、強盗映画の慣習やグループの状況の不条理を面白おかしく描く、大いに風刺的なものであることが明らかになる。この映画には、それぞれが独自のユーモアを持ち込んでいる、才能豊かなコメディアンたちが多く出演している。『マスターマインド』は、従来の強盗映画ではないかもしれないが、このジャンルに新鮮な視点を提供し、人間の興奮と金銭的利益に対する欲望について、愉快な解説を加えている。