Grave Encounters（グレイヴ・エンカウンターズ）

一見すると、『Grave Encounters（グレイヴ・エンカウンターズ）』は、よくあるPOV（主観視点）ホラー映画のように見える。しかし、よく見てみると、この映画には、もっと邪悪な意図があることがわかる。『Grave Encounters』は、リアリティ番組と、視聴率のために最も脆弱な人々と進んで身をさらけ出す人々を利用する方法に対する痛烈な批判なのだ。 この映画は、超常現象リアリティ番組『Grave Encounters』のクルーを描いている。彼らは、名声と富を確実にするための完璧な超常現象のケースを探している。ランス・プレストンという才能にあふれた野心家の司会者に率いられたチームは、患者虐待と謎の失踪事件のために長年閉鎖されていた、悪名高いコリンウッド精神病院に目をつけた。 チームが廃墟となった病院の探索を開始すると、彼らは不気味で不安な雰囲気に遭遇する。壁は秘密を囁き、影はねじれて歪み、空気は世のものとは思えないエネルギーで満ちている。しかし、ランスと彼のクルーは臆することなく、超常現象の決定的な証拠をカメラに収める最初の人物になると確信している。 チームは、口達者な司会者のランス、生意気で独断的なプロデューサーのサーシャ、チームの常駐超常現象研究家のマット、番組の技術専門家のヒューストン、そしてカメラオペレーターのローリーで構成されている。彼らは協力して機材を設置し、病院の迷路のような廊下を探索し始め、霊に呼びかけ、超自然現象の兆候を探す。 最初は、きしむドアの音や、ドアが勝手に閉まる音しか証拠を見つけることができない。しかし、夜が更けるにつれて、出来事はより頻繁に、より激しくなる。ドアノブが勝手に回り、物が説明なしに動き、肉体のない声が闇の中でささやく。チームは恐怖を感じながらも、歴史を作ろうとしていると信じ、冷静さを保とうとする。 しかし、夜が更け、チームが証拠を捉えようと必死になるにつれて、彼らは互いに反発し始める。ランスのエゴと名声への渇望は彼をむしばみ始め、完璧な映像を求めて、ますます大きなリスクを冒すようになる。サーシャの懐疑主義は薄れ始め、忍び寄る恐怖と不安に取って代わられる。マットの専門知識は衰え始め、ヒューストンの機器は故障し始める。一方、ローリーはますます内向的になり、孤立していく。まるで自分の周りで繰り広げられている恐怖から身を守ろうとしているかのようだ。 チームが派閥に分裂し、自分自身の正気を疑い始めると、何かが非常に間違っていることが明らかになる。病院は彼らの知覚を操作し、現実と狂気の境界線を曖昧にする幻覚や錯覚を生み出しているようだ。かつて信頼できる証拠であったチームの機器は、誤作動を起こし始め、歪んだ不気味な画像を生成する。 結局、チームの運命を決定づけたのは、ランスの傲慢さである。完璧な映像を捉えようと必死になった彼は、病院の奥深くに足を踏み入れ、閉じ込められて孤立してしまう。かつては信頼できる仲間だったカメラは、未知の存在によってチームが狩られ、一人ずつ殺されていく様子を記録し続ける、厄介な存在と化す。 映画の最後のショットは、ランスのカメラがまだ回っており、彼が助けを求めて叫び、懇願する様子が映し出された、ザラザラした歪んだ映像である。画面は黒くなり、「グレイヴ・エンカウンターズ：エピソード13 - 最終回」という言葉が画面に表示される。これは、チームの運命が最初から決まっていたことを示唆する、不快なジョークである。 結局のところ、『Grave Encounters』は、リアリティ番組の暗黒面を描いた映画であり、脆弱な人々や搾取される人々よりも、扇情的で刺激的なものを優先する文化に対する痛烈な批判である。この映画を見終わった後、視聴者は電気をつけたまま眠りにつくだろう。そして、自分たちが悪用しようとしている力に、人々が閉じ込められ、操られるとどうなるかという恐怖に心が揺さぶられるだろう。